ニョクマムって何だっけ。 魚醤いろいろ

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ニョクマムやらヌクマムやら、、どこかで聞いた事のある名前だけど、、なんだっけ??
と、人生で一度か二度、思うかもしれません。

“ニョクマム” も “ヌクマム” も同じもので、ベトナムの魚醤です。魚を原料とした調味料ですね。
魚醤と言えば、他にも各国でたくさんの種類があって、有名なものだとタイの “ナンプラー”、日本にも “しょっつる” や “いしる” などがありますね。

今回は、こんな謎の単語となってしまいがちな、魚醤についてちょっと紹介させてもらいます。

魚醤いろいろ

魚醤とは

まず、魚醤について。
魚醤とは、魚介類を塩漬けにして作る発酵調味料です。魚介類を発酵させているので独特の味と匂いが特徴です。そのため、好き嫌いがかなり分かれる調味料ですね。種類によって味わいは異なりますが、クセのある味わいをもつものが多いですね。
作り方はかなりシンプルで、基本的には魚介類と塩を密閉できる容器に入れて長時間(数年)放置するだけです。出てきた水分から魚介類の骨などの固形物を濾して液体部分を使用します。

使用する魚介類は地域によって変わり、その地域で獲れる魚介類を使用した地域特有の魚醤もあります。

 

世界の魚醤

・ナンプラー

まずは、最もメジャーな魚醤と言えるかもしれません。タイのナンプラー。
主にカタクチイワシを原料に使用し、基本的には1年~1年半程度寝かして作ります。
分離した液体部分に砂糖を加えたものが一級品となり、残った固形分に塩水などを足して短期間熟成し酢酸を加えたものが二級品、さらに残った固形分に塩水を継ぎ足して煮沸して酢酸などを加えて作られたものが三級品となります。
一級品は “一番搾り” と呼ばれたりするみたいです。また、三級品に該当するものは、”ナンプラー” とは名乗れずに、”ミックスナンプラー” と呼ばれるようです。

ちなみに、タイ語で “nam” は「液体」を意味して、”pla” は、「魚」を意味します。「魚の液体」ですね。

・しょっつる

こちらは日本の魚醤。秋田県で、主にハタハタを原料に作られる魚醤。
しょっつる そのものよりも、”しょっつる鍋” という単語で聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。
秋田県の郷土料理のしょっつる鍋ですが、その名の通り、しょっつる鍋の味付けにしょっつるが使われます。
また、しょっつる鍋には、しょっつるの原料となるハタハタが具材として使われることも多いです。

ちなみに、しょっつるを漢字で書くと、「塩魚汁」または「塩汁」だそうです。当て字で何となく、”ショッツル” って読めますよね。

 

・いしる

こちらも日本の魚醤。石川県の能登半島で古くから作られる伝統的な調味料です。原料にはイワシやサバ、アジなどを使用する事が多く、他の魚醤に比べると色々な種類の魚が使われるので、作る人によって味わいの幅も広くなります。

しょっつる同様、いしるも漢字で書くことが出来て、「魚汁」で、いしるだそうです。漢字だけ見ると魚のお吸い物とかアラ汁を想像してしまうかもしれませんね。

ちなみに、イカ (の内臓) を主な原料として作られる「いしり」という魚醤も同地域で古くから作られています。

 

・いかなご醤油

瀬戸内海に面する香川で作られる魚醤で、先に紹介した、「しょっつる」「いしる」とともに、この「いかなご醤油」で日本三大魚醤と呼ばれます。原料はその名の通り、”いかなご” という魚で作られます。
日本三大魚醤の中で最も生産量が少なく、スーパーなどではあまり目にすることはないかもしれません。ネット上でも見かける事は少ないです。

ちなみに、日本の魚醤はナンプラーなどの世界の魚醤に比べると、独特な風味はあるものの、比較的より醤油に近いような、食べやすい味わいに感じるので、魚醤に抵抗のある人は日本のものから試してみると良いかもです。

 

・ヌクマム(ニュクマム / ニョクマム)

“ニュクマム” とか “ニョクマム” とか “ヌクマム” とか、若干の発音の違いがありますが、産地のベトナムでは、「ヌクマム」 の発音が最も一般的なようなので、ここではヌクマムでいきます。
ベトナムの魚醤です。ナンプラーと同様にカタクチイワシを主な原料として作られますが、砂糖を足して仕上げられるナンプラーに比べて、ヌクマムはより魚の香りや旨みを感じられる味わいです。
ヌクマムはその成分の値を示す数値が、15°Nなどと記載されており、これは数値が高いほどうまみ成分が含まれている、という事になります。30°N以上が特級品、25°N以上で上級品、といった感じです。
お店で見かけたらぜひ気にして見てみてください。

 

・コラトゥーラ

東アジアで多く見られる魚醤ですが、こちらはイタリアの魚醤。原料は、ナンプラーやヌクマム同様、カタクチイワシを発酵させて作ります。ちなみに、”アンチョビから作られる” みたいに書かれている事もありますが、そもそもアンチョビはカタクチイワシを塩漬けにしたものなので、原料はやはりカタクチイワシです。
他の魚醤に比べると熟成期間が長く、3~4年ほど熟成させる場合もあります。発酵期間が長いことで、魚醤特有のクセが少なくなり、まろやかな口当たりとなります。

・ガルム

コラトゥーラの起源、とも言えるかもしれませんが、ヨーロッパには古くから(古代ローマ時代と言われる)”ガルム” という魚醤が作られていたようです。現在の魚醤の多くが主にカタクチイワシなどの特定の魚を原料とするのに比べ、ガルムは様々な種類の魚やその内臓も一緒に浸けこんで熟成させていたとされます。
現在でもガルムは作られており、他の魚醤と同様にしっかりと濾して液体の調味料として使用できるものが販売されております。

 

・ユイルー(魚露)

中国の魚醤で、現地ではケチャップと言わていたりするようです。というのも、そもそもの “ケチャップ” の語源が、中国の魚醤である “ケ・ツィアプ” から派生したという説があり、この事から中国では今でも、ケチャップ=魚醤という認識があるようです。
ちなみに余談ですが、日本やアメリカでケチャップというとトマトベースの調味料の事を指すのが一般的ですが、ヨーロッパだと、キノコやクルミを使用した調味料の事を指したりします。中国だと魚醤になってしまうので、ケチャップという単語を世界で使用する際には要注意ですね。

 

今回は、いくつかの魚醤を紹介させてもらいました。香りが気になる人も多いかもしれませんが、グルタミン酸が豊富でうま味たっぷりの魚醤は料理の隠し味としてしっかりとアクセントをつけられるので、是非色々と試してみてください。

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