「プライムビーフ」なんだか聞いた事のある単語、ではないでしょうか。
なんか、良いお肉、なのかな、といった印象ですが、まぁその通り、良いお肉の事です笑
“プライムビーフ” はアメリカのお肉の格付けシステムの等級の1つなのですが、日本にも牛肉の質を判断する指標として「A5」「A4」とかありますよね。
今回は、そんなお肉の格付けに関してのお話しです。
プライムビーフってなんだろう
プライムビーフとは
プライムビーフとは、USDA (米国務省)による牛肉の等級分けによる最高ランクに分類されるお肉の事です。
先にもお伝えした通り、アメリカにおける牛肉の格付け基準によるものなのですが、格付けというからには、”プライム” 以外にもいくつかのランクがあります。
また、プライムは 「”アメリカの” 牛肉等級分けのランク」なので、アメリカ以外にも牛肉の等級分けが存在します。
と、いう事で、いくつかある各国の牛肉の格付けを簡単に見ていきましょう。
アメリカの格付け
アメリカの牛肉格付制度は、USDA(United States Department of Agriculture:アメリカ合衆国農務省)により導入された格付けで、”アメリカ合衆国農務省” は日本で言うところの、農林水産省(食料の安定供給、産業の発展、資源の保全など、食に関する国内の管理を行う機関)です。
等級は、先にお伝えしている「プライム」をはじめ、8つの肉質等級があります。
「スタンダード」「コマーシャル」「ユーティリティ」「カッター」「キャナー」
各等級への判断基準は多岐に渡り、”脂肪交雑度合い”・”性別”・”去勢の有無”・”出産の有無”・”月齢” などの観点から分類されます。
日本に輸出される牛肉は、「プライム」「チョイス」「セレクト」の上位3等級までなので、「スタンダード」より下位の等級はあまり聞きなれないかと思います。
また、より高品質の牛肉をブランド化するためにいくつかの「認証プログラム」というものもあります。
最も良く聞くものだと「CAB」があり、他にも「CHB」というものもあります。
CAB (Certified Angus Beef Program)
アメリカで飼育される代表的な牛の品種に「アンガス種」という牛がいます。このアンガス種のお肉で、USDAの審査基準を上回る厳しい品質基準に基づいて認定されたものに、CAB認定がなされます。CAB認定を受けた牛肉はアンガス牛の中でも最高級品質を保証されるものになり、人気とブランド力のあるお肉です。
ステーキを扱うレストランのお肉の表記などで、CABの文字を見たりしますよね。
CHB (Certified Hereford Beef Program)
上記のアンガス種に次いでアメリカで多い牛が「ヘレフォード種」。CHBはこのヘレフォード種のお肉に対する品質保証の認定基準です。アンガス種のお肉に比べて、赤身肉のしっかりとした味わいを楽しめるのが特徴です。
日本の格付け
お次は我が日本。”和牛” ブランドは今や世界的にも人気ですね。
日本の格付けは、よく耳にする「A5」「A4」といった、アルファベットと数字の組み合わせで分けられます。
この “アルファベット” の部分は【歩留等級】によって、 “数字” の部分は【肉質等級】によって判断されていて、こちらの基準は、JMGA (公益社団法人日本食肉格付協会)により定められております。
・牛の枝肉(皮・内臓・頭部・尾・四肢などを取り除いて残った部分を半身にしたもの)から得られる部分肉の割合により、「A」「B」「C」の3段階に分けられます。「B」は標準値、「A」は標準より良いもの「C」は標準より劣るもの、となります。牛一頭から得られる部分肉の量が最も多いのが「A」ですね。
ちなみに枝肉というのは、映画などで冷蔵室にダイナミックに吊るされているお肉、を見た事があるかもしれませんが、あれのことです。
・こちらは主に味に関する評価で、『脂肪交雑(霜降りの状態)』『肉の色択』『肉の締まりとキメ』『脂肪の色択と質』の観点から、「5等級」~「1等級」までの5段階で判断されます。
ちなみに、40代半ばを過ぎた自分には、A5のお肉よりも、A4あるいはA3くらいのお肉の方が、胃もたれが少なくてすむので好みだったりします。A3やA4でも十分なので、お財布にもリーズナブルで助かってます。
オーストラリアの格付け
お次は “オージービーフ” として日本でも多く食べられているオーストラリアの牛肉。
オーストラリアにも牛肉の格付けプログラムとして、MLA (豪州食肉家畜生産者事業団:Meat&Livestock Australia)による、MSA (ミート・スタンダード・オーストラリア)という制度があります。
この制度は他の国の審査方法とは異なり、消費者による評価格付制度となります。そのため、その判断基準は味(おいしさ)に特化していて、主に肉の柔らかさ(の予測)によって分類されます。
・MSA4:承久の柔らかさ
・MSA3:柔らかさの保証付き
また他にも、飼育方法とそれに付随する飼料の違いにより、その牛の特徴が判断されます。
生涯を通じて牧草を主な食糧とする飼育方法。低カロリーで健康的な赤身肉となる。【グレインフェッド】
牧草地での放牧後に穀物飼料を与えて飼育する方法。霜降りが入りやすくジューシーな味わいとなる。
穀物飼料を与える期間の違いで呼び名も変わる。
・ショートグレイン:穀物飼料の期間が通常100日~120日
・ミドルグレイン :穀物飼料の期間が通常150日~180日
・ロンググレイン :穀物飼料の期間が通常200日以上
ちなみに、先に紹介しているアメリカンビーフのほとんどはグレインフェッド(穀物飼育)で育てられるので、オージービーフよりもアメリカンビーフの方が、一般的にはジューシーな味わいのイメージがありますね。
また、オーストラリアは食の安全に対する意識が高いようで、肥育ホルモン剤の使用や、遺伝子組み換え飼料の使用も制限されております。なので、先にも伝えた通りオージービーフはヘルシーな赤身肉である事が多いことも相まって、健康志向の方が選びやすいお肉かもしれません。
ちなみに、オーストラリアではアンガスビーフなどの品種はもちろんですが、日本のWAGYU (和牛) も多く飼育されており、WAGYU生産国世界第2位です(生産国世界1位はもちろん日本)
WAGYUは、黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4種類の品種の事を指すので、日本以外の国で生産されるWAGYUも存在するのです。
ちなみに、牛肉だけではなく、子羊肉にも同様の格付けプログラムがあります。ラム肉が有名なオーストラリアらしいですね。
EU の格付け
まだまだあります。次はEU (ヨーロッパ)
牛肉生産量でも上位に入るEU。EU加盟国の合算なので、ちょっと不公平感もありますが(笑)。そんな、複数の国で構成されるEUにも、共通となる格付があり、2つの視点から区別されます。
・S:著しく肉付きが良い(ダブルマッスル)
・E:著しく肉付きが良い
・U:肉付きがとても良い
・R:肉付きが良い
・O:平均的な肉付き
・P:貧弱な肉付き
・5:かなり多い 枝肉全体に脂肪が付着
・4:多い ほとんどの場所に脂肪が付着
・3:平均的 もも、肩以外に脂肪が付着
・2:わずか 脂肪の付着がわずかで、赤身が見える
・1:少量 脂肪の付着がほとんどない
(H)(+) と (L) (-) :1~5それぞれの区分に対してさらに、(多い) (少ない) で細かく判別される場合もある。
また、上記の格付けに先立ち、月齢や性別、出産の有無などによる区別も存在します。
・Z 若齢牛 :8~11ヵ月齢
・A 若雄牛 :12~23ヵ月齢の去勢していない雄牛
・B 雄牛 :24ヶ月齢以上の去勢してない雄牛
・C 去勢牛 :12ヵ月齢以上の去勢牛
・D 経産牛 :経産牛
・E 未経産牛:12ヵ月齢以上の未経産牛
と、いう事で例えば、
「EE1+」で、「若雌牛」「著しく肉付きが良く」「脂肪付着がほとんどない区分の中ではちょっと多め」
という評価になります。 すみません、ちょっとややこしいです、、
カナダの格付け
最後はカナダ。カナダビーフの格付けにも “プライム” という等級があります。
CBGA (Canadian Beef Grading Agency / カナダ牛肉格付協会)によって運営される格付システムで、日本と同じように【肉質等級】と【歩留等級】の2つの要素で区別されます。
肉質等級は、けっこう細かく13段階に区分されますが、実際に見かけるのは、A以上の4種類くらいかと思います。ちなみに、肉質等級の審査項目内にある “脂肪交雑” の判別は、A級以上の4等級にのみ行われます。
また、歩留等級に関しても、A級以上の枝肉にのみ適用されます。
プライム・AAA・AA・A・B1・B2・B3・B4・D1・D2・D3・D4・E
1・2・3
ちなみに、日本の格付けだと、「歩留」がアルファベットのA・B・C、「肉質」が数字の1~5、なので、カナダとは逆になるので、これもややこしいですね(笑)
おわりに
簡単ではありますが、各国の格付けを紹介させてもらいました。
牛肉だけではなく、オーストラリアのラム肉の格付けなど、他のお肉に対する格付けもあったり、また、牛肉の種類も多岐に渡ったり、と深堀りすると色々な??が出てくるので、その辺のお話もまたさせていただければと思います。
今回もありがとうございます。
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